1978年から1984年までTBS系列で放映された人気番組で、モグタンという過去に連れ行ってくれるキャラクターと、お姉さん(初代はうつみ宮土理、2代目は岡まゆみ)とのやり取りで、さまざまなジャンルを実写とアニメで子供にわかりやすく、物事の始まりを紹介する構成であった。全305話が放送され、25分枠で、普通は各回二つのエピソードが組まれていた。1990年に株式会社ハートメディアからVHSのビデオソフトでいくつか発売され、1979年12月22日に放映された「ロープウェイ」は「登山鉄道」と一緒にリリースされた。
山登りをしている二人の様子から始まり、へばったお姉さんがロープウェイを発見。山は歩いて登るものだと力説するモグタンだが、ロープウェイに乗って楽をするかわりに、その元祖を見に行こうと提案。いつもの「クルクルバビンチョ パペッピポ ヒヤヒヤドキッチョの モーグタン」の呪文で過去の世界へ。ここからアニメになる。
いきなり原始時代にまでさかのぼり、崖に囲まれた村の老人が外の世界を見てみたいという願いを孫がロープウェイを作って叶えてあげるという場面から始まる。これは高いところに楽に登りたいという人間本来の願望があったことを示し、根本的な原理は遠い昔からあり、古くは1664年のオランダに貨物を運ぶ索道があったことや、日本にも飛騨の籠渡しなどがあったことも説明している。さて、この原始人、せっかくロープウェイを作っても、若者たちは乗らないで徒歩で山を登る。疑問に思ったお姉さんが訊ねると、山は苦労して自分で登ってこそ、その喜びも大きいと言い、いきなりロープウェイを否定するような発言にビックリさせられる。
その後、物語は150年ほど前のスイスにさかのぼり、登山鉄道の開発に苦戦する様子が紹介される。そして空中にぶら下げるロープウェイよりも、地面を沿っていく登山鉄道やケーブルカーの発達が先だったことに時間を割き、一瞬これが何のエピソードだったかわからなくなる。しばらくケーブルカーの発達史が続き、1918年に奈良県の生駒市に日本で最初のケーブルカーが作られた後、その安全性がようやく認められ、1929年に吉野大峯ケーブルをはじめ、ロープウェイが作られていったという。(実際は吉野大峯ケーブルが日本最初の索道ではない。)この後やっとロープウェイの仕組みの説明になる。最後には、将来の予想になり、エベレストの頂上までロープウェイができた設定で、山頂は観光施設で溢れ、パチンコ屋のような賑わいになっている。そこにまたある青年が現れ、ふたたびお姉さんがなぜロープウェイを使わないか?という問いに対して、山は歩いて登るものだと言い張る。
そしてエピローグは箱根ロープウェイの乗っているお姉さんとモグタンで、もう一回乗ろうと言うモグタンにお姉さんが「やっぱり山は自分の足でのぼらなくちゃ」と言い出す。
個人的にも大好きな番組で、ロープウェイが紹介されるので楽しみにしていたのだが、ロープウェイの起源もあいまいで、半分はケーブルカーの話に時間を使われ、山は歩いて登るべきだという主張が強く、脚本家がまるで登山愛好家で、ロープウェイを使うのは邪道だと言わんばかりの構成にガッカリさせられた。
1990年に株式会社ハートメディアから発売されたもの以外に、TDKコア株式会社から「新まんがはじめて物語」として発売された商品もある。(発売日は不明)こちらの「ロープウェイ」のエピソードは「モノレール」とカップリングされている。
収録されている本編は同じなのだが、TDKコアから発売された方には「モグタンのミニミニガイド」というおまけ映像があり、その中で今は無き三峰山ロープウェイと日本ピラタス横岳ロープウェイ(現在の北八ヶ岳ロープウェイ)の映像が収録されている。このコーナーでもモグタンは、自分の足で登った山は格別なので、一度目はロープウェイで上り、二度目は自分で登ろうという調子で、最後の最後までロープウェイを見下した発想にロープウェイファンのプライドをズタズタにされる。
ちなみに2018年9月28日、番組の40周年を記念してDVDのボックスセットが発売され、厳選された26エピソードが収録されているが、「ロープウェイ」は入っていないので、現在は中古のVHSテープで見るしかない。
このエピソードはYOUTUBEで見ることができます。
「まんがはじめて物語」 のりもの編 「ロープウェイ」「登山鉄道」 HMV-204 発売元 株式会社ハートメディア 当時の定価 1980円(税込み) 発行 1990年7月 |