「動く實験室(実験室)」は戦後に出版された科学雑誌で、昭和23年6月1日に発行された号に「ケーブルカーをつくりましょう」という工作案が見開き2ページに掲載されている。昭和20年代初めはまだプラスチックモデルが普及する前なので、例にもれず、木材や金板などを使ってすべて一から自分で作らなければならない。塚田龍二氏の考案で、工作1~2 側板と妻板の工作、工作3 屋根、工作4 床板、工作5 組立、工作6 懸垂部分、工作7 案内、工作8 支柱という流れになっている。搬器はかまぼこ型の半円のようなデザインで、昭和23年の時点で、戦後のロープウェイは遊戯施設のものも含めてまだ作られていないので、何をモデルにこのようなデザインになったのか見当がつかない。しかし針金で支索を張り、循環する紐をえい索として動かす仕組みはロープウェイの原理としては正しいので、教育目的としてはしっかりしていると思う。余談だが、普通はこの手の科学工作雑誌は少年を対象としているものだが、この雑誌の副題には「少年・少女の新科学雑誌(The Practical Science for Boys and Girls)」と書かれている。科学の興味に性別は関係ないという発想は時代の先端を行っていたような気がする。
動く實験室 第3巻・第6号 発行 昭和23年6月1日 少年文化社 当時の定価 30円 |