借り物のロープウェイ宣伝媒体

事の始まりは、古い舘山寺ロープウェイの乗車券を手に入れた事からであった。図柄が違う物を数種類所有しており、それらを眺めている時、ふとあることに気づいた。それは画像の上の乗車券に印刷されている搬器だが、それまで自分が確認したことがないデザインなのである。現在のかんざんじロープウェイになる前の時代に、初代と2代目の搬器が存在していると把握していた。下の乗車券の搬器が初代である。もし上の搬器が存在していたら、自分が初代だと思っていた搬器は2代目ということか?でもこの乗車券以外でそのような搬器は見たことがないのである。あと角度もなんとなく違和感を感じる。

そして、しばらくしてネットオークションで向かって左側のパンフレットを見つけた。右側の方の搬器は色々な資料でよく見るが、左側の搬器は見たことがない。ある時、かんざんじロープウェイの社員の方にこの映像を送り、左側の搬器が実在したのかどうか伺ったのであるが、やはりないという答えを頂いた。ということは、まだ本物の搬器の写真がない時に仮のパンフレットやチケットを作る必要性があったということであろう。そうなると、これはどこの搬器の画像を流用したのか?個人的に調べているが、まだ検討が付いていない。


次に、これは小豆島の寒霞渓ロープウェイの乗車券である。なぜか未使用で、割り印で「試乗券」と捺印されているのが確認できる。たぶん開業当時に試乗してもらう来賓客などに手渡した物だと察する。この乗車券を見た時、古いロープウェイが好きで調べている自分はすぐにこれが寒霞渓ロープウェイの初代搬器ではないことがわかった。

向かって右側は長崎ロープウェイの初代搬器である。この独得の色分けのデザインは長崎以外にはない。左側の乗車券の画像が長崎ロープウェイであることは間違いないと言える。やはり、開業間もないころ、本物の搬器の画像が用意できなくて、先に開業していた長崎ロープウェイの画像を借りたのであろう。


これは新潟県の弥彦山ロープウェイの開業を知らせるチラシである。

その弥彦山ロープウェイのチラシに挿入されている搬器の画像は紛れもなく奥摩耶ロープウェー(現在の摩耶ロープウェイ)の初代搬器である。これも特徴があるデザインなので間違いない。


これは白根火山ケーブル(白根火山ロープウェイ)の謎の乗車券である。ここは循環式のゴンドラなのに、この乗車券(左側)のイラストがどう見ても交走式のロープウェイにしか見えないのである。搬器のデザインが循環式にしては横長だし、上のハンガーと懸垂機の部分を見ても、これは循環式っぽくない。そしてなんとなくこの搬器のデザインに見覚えがあると思い、自分の絵葉書コレクションなどをみていたら、背炙り山にあったロープウェイの搬器(向かって右側)にかなりそっくりなことが判明。仮のイラストを描くにしても、なんで循環式ゴンドラっぽくないこの絵を採用したのか、不思議でたまらない。


中央は善光寺ロープウェイの案内書の表紙である。イラストでロープウェイが描かれているが、実際の善光寺ロープウェイの搬器は向かって左側の画像である。しかし描かれている搬器は向かって右側の日本平ロープウェイの初代搬器に近いと思う。これもたぶん、実際の搬器のデザインがわからない時にパンフレットを用意する必要から、別のロープウェイを参考に描かれたものと察する。


2020年06月14日