ます美の幼児保育えほん のりもの (019)

ます美書房から発行された10ページからなる絵本で、見開きの2ページずつに、自動車、電車、飛行機、船、ロープウェイの5種類の乗物が紹介されている。この本の特徴は、左ページに本物の乗物、右ページ上段に遊園地などにある同一の乗物、下段にそのおもちゃのイラストが描かれている。絵の作者は寺田ひろし。左ページの絵は箱根にあった晴遊閣大和屋ホテルの自家用ロープウェイ「夢のゴンドラ」をモデルにしている。そして右ページの上は渋谷の東急百貨店にあった「ひばり号」にかなり似ている。右ページ下のおもちゃの絵は、この本の発行当時にこういうおもちゃが実在したかは不明であるが、索道玩具を長年コレクションしている自分はまだこのようなデザインのおもちゃを確認していない。発行日は不明であるが、大和屋ホテルの夢のゴンドラとひばり号がどちらも1951年(昭和26年)に登場している事や、他のページで上野動物園のお猿の電車が描かれている事から、1951年から1953年ぐらいの発行と推測する。またロープウェイを「空中ケーブルカー」と言っていたのは、戦前から戦後の本格的旅客索道が登場する1955年以前に多く見られるので、この本で「けえぶるかあ」と言っていることからも1950年代前半だと察せられる。

 

 

ます美の幼児保育絵本
「のりもの」
発行 株式会社ます美書房
当時の定価 30円
表紙 安井小弥太
絵 寺田ひろし